冬のドームテント運用で、必ず聞かれることがあります。雪です。
どれくらいの雪に耐えられるのか。どこに溜まるのか。落とすときに何をしてはいけないのか。順にお答えします。

結論:当社ドームテントの積雪荷重は50kg/㎡です
屋根1㎡あたり50kg(0.50kN/㎡)までの荷重を想定しています。
ここで多くの方が思うはずです。「それは何cmの雪ですか」と。
50kg/㎡は、おおよそ25cmです
建築基準法では、積雪荷重を「積雪1cmあたり1㎡につき20N(約2kg)以上」として計算します。
この考え方で割り戻すと、50kg/㎡は積雪およそ25cmにあたります。
これはあくまで目安です。実際に何cmまで耐えられるかは、雪の質で変わります。
「積雪○cmまで」という表示には注意してください
ドームテントを比較していると、「積雪100cmまで対応」「200cmまで」といった表示を目にすると思います。
深さだけでは、雪の重さは決まりません。
降ったばかりの軽い雪と、水を含んで重くなった雪では、同じ深さでも重さがまったく違います。
これは法令の考え方にも表れています。自治体が定める多雪区域の基準では、垂直積雪量が深くなるほど、1cmあたりの単位荷重を大きく設定します。ある自治体の例では、積雪100cmなら1cmあたり20N、200cmなら30N、400cm以上なら35Nとされています。
深く積もるほど、下の層が自分の重みで締まって重くなるからです。
だから当社はcmではなくkg/㎡で表示しています。条件に左右されない数字はこちらだからです。
比較検討をされている場合は、各社の表示が「深さ」なのか「重さ」なのかを確認してください。単位が違うものは、そのままでは比較できません。
一番危険なのは、雪のあとの雨です
積もった雪が雨を吸うと、深さは変わらないまま重さだけが増えます。
雪が降った翌日に雨の予報が出ているときは、降る前に落としてください。深さを見て「まだ大丈夫」と判断するのが、一番危ない場面です。
雪は「上」に溜まります
横は滑り落ちます。上部は残ります
ドームは球面なので、側面に積もった雪は滑り落ちます。
問題は頂部です。傾斜が緩やかになるため、上のほうに積もった雪はそのまま残ります。

雪が降った翌朝、まず確認していただきたいのはドームのてっぺんです。横がきれいに落ちていても、上に乗ったままになっていることがあります。
換気扇まわりは特に溜まりやすい
換気扇を付けている場合、その周囲に雪が溜まりやすくなります。
出っ張りが雪を受け止めてしまうためです。平らな膜面なら滑る雪も、換気扇にぶつかるとそこで止まります。
換気扇のあるドームは、重点的に確認してください。施工時に換気扇の位置をご相談いただければ、溜まりにくい配置をご提案できます。
雪下ろしのやり方
外から、柔らかいブラシで払う
外側から、柔らかいブラシやデッキブラシで払い落としてください。長い柄のものがあると作業しやすくなります。
膜面は滑りやすいので、雪の塊の端を崩せば、あとは自重で滑り落ちます。力を入れて削る必要はありません。
鋭利なものは絶対に使わないでください
金属スコップ、スノーダンプ、ヘラ、金属ヘラ、除雪棒の金属部分、その他の先の尖った道具
膜に一度穴が開くと、張り替えになります。雪下ろしで膜を切ってしまうのが、冬に一番多い物損です。
凍り付いた雪を無理に剥がすのも避けてください。膜ごと持っていかれます。気温が上がって緩んでから落とすほうが安全です。
いつ落とすか
「何cm積もったら」ではなく、「上部に残り始めたら」で判断してください。
横が滑っているうちは、積もっていても荷重は分散しています。頂部に乗って動かなくなった時点で、落とす作業に入ってください。
そして前述のとおり、雨の予報が出たら、その前に落としてください。
冬は膜が縮みます。張り具合を見直してください
雪とあわせて、冬前に確認していただきたいことがあります。膜の張り具合です。
膜は温度で伸び縮みします。夏のあいだは熱で伸び、冬は縮む方向に動きます。
問題になりやすいのは、夏に「たるんできたから」と締め込んでいる場合です。
夏に伸びた状態を基準に張り直していると、気温が下がって膜が縮んだときに張りすぎの状態になる恐れがあります。
張りすぎた膜は、力を逃がせません
膜構造は、わずかにしなることで雪や風の力を逃がしています。
限界まで張った状態では、そのしなる余地がありません。加わった力が、接合部やフレームに集中します。
雪が乗るのは冬です。一番力がかかる季節に、一番余裕のない状態になっていないか。ここを確認してください。
冬に向けては、やや緩めに
冬季は、やや緩めの張り具合にしておくほうが安全です。
夏のあいだに張り調整をされた施設は、気温が下がりきる前に一度見直してください。
適正な張り具合は、ドームのサイズ、膜の経過年数、設置環境で変わります。判断に迷われる場合は、写真を送っていただければ確認します。
寒さ・結露・暖房については別記事にまとめています
この記事は雪と凍結に絞りました。
「冬に寒い」「結露が出る」「暖房の効きが悪い」という運用面の課題は、原因と対策を別の記事で詳しく解説しています。断熱インナーカバーの話もそちらです。
冬を迎える前に、点検させてください
雪が降ってから慌てるより、降る前に膜の状態を見ておくほうが確実です。
劣化した膜は、同じ雪でも傷みやすくなります。接合部の緩み、膜の張り具合、換気扇まわりの納まり。この3点は、冬前に確認しておく価値があります。
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